この楽曲は、私の「即興曲」と冠した連作シリーズの第2弾である（現在のところ、第1番としてクラリネット3重奏、第3番としてトイピアノ・ソロのための作品が作曲されている）。私は「即興曲」と題した楽曲を創作する際に、「①即興的であること」「②形式的なまとまりがあること」という2つのポリシーを意識している。

ユーフォニアムは、美しい音色を持ち叙情的に歌うことに秀でている楽器である…という事実は広く知られている。しかし、この楽器の可能性はそれだけに留まらないはずだ。この楽器には未だ見ぬ新たな音楽を創造する可能性があると感じているし、現在においても実際に世界各地で研究が進められていると思う。以上のことを踏まえ、これから現代の音楽に取り組もうとする奏者が、入門作品として位置づけ接することができるように意図してこの楽曲を創作した。現代奏法は確かに使用されているが、そこまで過度な要求はしていない。

演奏に際しては、ある種「ドライ」な表現が求められることもあるだろう。最初に提示されたモティーフ及びそのエネルギーが「どこ」へ向かうのか？その一貫した「流れ」に着目して演奏していただきたい。2021年、第19回弘前桜の園作曲コンクール一般部門第3位受賞作品。

Euphonium