この曲はユーフォニアム奏者である木村玲氏の演奏に感銘を受け、彼のために献呈すべく書き上げた作品です。切れ目なく演奏される1,2楽章は、ユーフォニアム特有の渋く柔らかい音色、そして哀愁漂う美しいレガートが際立つようにしています。そして3楽章では、木村氏がロックに親しみがあるという話を元に、疾走感あるテンポでリズムを生かした曲想で書き進めることで、全楽章を通じてユーフォニアムの色彩ある音色と表現が存分に堪能できる作品となっています。

演奏上の注意点としては、1楽章の30小節目から始まるフレーズはpoco a poco accel.で急に速くするのではなく、少しずつ音楽を前に持っていき38小節目のriten.に向けて音楽のエネルギーを溜めるような表現でお願いします。2楽章[F]からの8小節は、短いカデンツァのようにしっかりと歌うことを心がけてください。157小節や173小節から現れるような上行スケールは、インテンポで停滞せずに前に推進力を持って演奏してください。3楽章はテンポが速いので、1小節を2拍で感じながらアタックをハッキリと演奏してください。リズムを生かした疾走感あるテンポの曲想なので、楽しげに、そして流れるような演奏になるようにすると更に魅力ある演奏になると思います。

＜初演＞

2021.10.15

ユーフォニアム：木村 玲 ／ ピアノ：石山英明

Euphonium

Piano