この楽曲は、私の「即興曲」と冠した連作シリーズの第1弾である（現在のところ、第2番として無伴奏ユーフォニアム、第3番としてトイピアノ・ソロのための作品が、それぞれ作曲されている）。私は「即興曲」と題した楽曲を創作する際に、「①即興的であること」「②形式的なまとまりがあること」という２つのポリシーを意識している。本作では、ある一定のルールによって並置されたマテリアル群が（それ自体に漸次的な変化はほとんどおこなわれず、最初に提示されるテーマの裁断や、そのリピテーションが並置されるに過ぎないことも留意されたい。）、3巡のサイクルを形成するという「構成」となっている。

抽象的でとっつきにくい楽曲であるかもしれないが、演奏に際しては、音楽自体が発生させている「エネルギー」の流れを「操作・デザイン」する意識、及びその「方向性」を奏者同士で共有する意識をお持ちになるとよいかと思う。冷静かつ大胆な演奏を期待する。

1st Clarinet in B♭

2nd Clarinet in B♭

Bass Clarinet in B♭