卓越したプレイヤーのために作品を書くことの醍醐味は、五線に隙がないほど真っ黒に埋め尽くされた楽譜であっても難なくさらりと音にし、創造主にも想像できない感情を表現してくれることでしょう。井上さんのバス・クラリネットへの情熱に応えるのと同時に聴き手にも理解しやすい現代風な作品を、と思いついたのが「ブルース」（淡谷のり子や森進一は忘れてください）。

本作品を大雑把に表現すればブルー・ノートやブルース・スケールを意識したバス・クラリネットのための作品、と言ったところでしょうか。こんなタイトルをつけてしまってガーシュイン先生も天国でさぞかしお怒りでしょうけど、井上さんの素晴らしい名演奏に免じてお許しいただきましょうか。

Bass Clarinet in B♭

Piano